10年先を行く技術者が作り出す『VR CONTENTS』の世界

10年先を行く技術者が作り出す『VR CONTENTS』の世界

「アバター」や「マトリックス」などSF映画に出てくる「実際には存在しないがあたかも存在しているかのような」感覚を味わえるバーチャルリアリティ(以降、VR)。ここにきてVRを体験・体感できるヘッドマウントディスプレイ(以降、HMD)が続々と発表され、身近に体感できる時代となりました。もちろんここアキバでもVRを体験できる店舗が増えています。今回のIPPINでは「VR CONTENTS」の先駆的クリエイター・桜花一門氏にインタビューを敢行。氏の話を交えながら、VR COTENTSの未来を探ります。

桜花一門氏

VR体験にはコンテンツを出力するHMDが重要。これまでのHMDは10m程度離れた場所に大型のスクリーンがあるように見えるもので、モニターの延長という位置付けでした。

それが2016年、HMDを付けた瞬間、まるで映像の世界の中にいるかのように感じられるHMDが複数のメーカーから発表され、「VR元年」の幕開けと言えます。

今回BEACON AKIBAが注目したのはアメリカ・オキュラス社が開発・販売している「Oculus」シリーズ。すでに開発者向け機種が2機種発売されており、2016年からは一般ユーザー向けの「Oculus Rift」が発売開始。Oculus Riftを装着すると視野角110度というスペックで視界のほぼすべてが映像で満たされ、備え付けのヘッドフォンからは3Dサラウンドを出力、本当に映像の中に入り込んだような感覚を味わえます。

oculus.com

出典 https://www.oculus.com/ja/

Oculus Rift

●VR CONTENTS参考動画(外部サイト)

このOculus Rift で体感できるVR CONTENTSは、世界中でさまざまな企業・個人が開発を行っており、桜花さんもそのパイオニア。「日本初、VR CONTENTS製作だけで生活をする」ことを目標に、TOKYO VR START UPの一員として、2016年末を目標に新作ゲームの開発を行っているそう。

これまでにも多岐に渡るコンテンツを開発し、HP「桜花一門( http://ouka.s108.coreserver.jp/ )」にて開発したOculus専用ソフトを公開中。またVR CONTENTSの発表の場として「OcuFes」というOculus体験会を主催、意欲的に活動されています。( http://www.ocufes.jp )。

桜花一門氏

桜花一門氏

「アメリカなどは投資(スポンサー)文化が定着しているので予算やプロジェクトの規模が大きい反面、企画や人材が集約されてしまい、開発数自体はそれほど多くありません。」と桜花さん。

「日本は投資文化がまだまだ定着していないので、低予算・無予算で製作しなければならず、その分、それぞれの思いやアイデアを駆使して開発しているので多種多彩なコンテンツが生まれています。」

日本の多彩なVR CONTENTSはオキュラス社の会長の目にも止まっているそうで、過去に開発者向けの機種が発売になった際には日本に優先して出荷されたという逸話もあるのだとか。

●参考記事(外部サイト):新進気鋭のアーティストによる多彩なVR映像が東京に!「THE KALEIDOSCOPE 2016 WORLD TOUR TOKYO」開催
http://cgworld.jp/feature/201604-kaleidoscope-tokyo.html

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桜花さんが初めてVRを体感したのは高校生の頃、先輩から誘われて見に行ったイベント会場。今と比べれば、技術的にはまだまだのレベルだったとはいえ、初めてのVR体験に衝撃を受けたそう。

月日は流れ、数年前、あの時の先輩がOculus開発者向けキットをHPで紹介しているのを知り、早速購入。試行錯誤しつつVR CONTENTSを作り始め、どんどんはまっていったのだとか。その魅力を「一言で言うと『時空間を超えて、願望をリアルに体感すること』ですかね。」と話す桜花さん。

オキュラスを覗いたときのイメージ

オキュラスを覗いたときのイメージ。左右の眼に同じ映像がそれぞれ出力され、実際には3D映像として視認できます。

実際にゲームを行っているときのイメージ

実際にゲームを行っているときのイメージ。視野の全てが3D映像に包まれるため、臨場感の非常に高い状態になります。

桜花さんに開発中の面白さを尋ねると、「誰も踏み入れたことのない未知への挑戦が続くので、それが一番面白い。」とのこと。挑戦することで自分ができなかったことを理解する喜びや、より理想に近い内容に近づけていくことで感じられる充実感があるのだとか。

「先日、出展参加したコンテンツ制作ソフトのメーカーが主催するイベントで、お客様に自分のVR CONTENTSを試遊いただいて感想を聞いて、お客様が手薄になる合間の時間でバージョンアップ。途中、製作ソフトの操作や仕様で分からないことがあったら、会場に来ていた顔見知りにメーカー関係者に直接聞いてすぐに反映。2日間のイベントで開始時と終了時ではまったく別モノのコンテンツになっていました。」と桜花さん。スピード感あるゲーム開発にこだわります。

桜花さんが現在開発中のゲーム画面

桜花さんが現在開発中のゲーム画面

桜花さんが現在開発中のゲーム画面

「従来は私が企画を立てて、設計図通りに作ってとプログラマーに依頼。ゲームのデザインも別途デザイナーにお願いして、プログラマーとの整合を取って…とゲーム一つ作るにも気を使わないといけませんでした。今はコンテンツ制作ソフトが登場してくれたお陰で、ある程度は自分ひとりで製作でき、プログラマーに投げる場合でも自分が作りたいものをはっきりした形で相手に渡すことができます。」

こうした環境面の変化も、日本の個人開発活動を後押ししている要因です。

反面、開発中に感じる辛さを尋ねると「(VR CONTENTSに関する)一般ユーザーとの認識のズレですね。」と桜花さん。

「VR CONTENTSに対する技術的な認識が一般ユーザーと10年近いズレがあると思います。自分ではたいした技術じゃないと思っても、VRに触れていない一般の方からすれば十分に感動していただけています。」と言います。「技術と感動を曲線で表した感動曲線というものがあるのですが、技術の向上と感動は比例しないんです。」と実際にグラフを書き始める桜花さん。

技術と感動を曲線で表した感動曲線

「例えばフルHDの映像が世に出たときは非常に盛り上がりましたが、4K映像が発表されたときフルHDほど反響はなかったですよね?」

技術と感動を曲線で表した感動曲線

「以前勤めていたゲーム業界でも同様で、某ゲーム機が次世代機に変わった際、映像面がフルHDに進化して爆発的な反響がありました。しかし、次々世代機になって映像はより綺麗になりましたが、反響は薄く、開発面の労力だけが圧し掛かってきて大変でした。」と桜花さん。コンテンツ開発の先頭に身を置いているからこその知られざる辛さでしょう。

10年先を行く技術者が作り出す『VR CONTENTS』の世界

「今年は家庭用ゲーム機でもVRディスプレイ・専用コンテンツの発売が開始されます。VRが誰にでも気軽に体験・体感することができるよう一般化して欲しいですね。」

確かにイベントや店舗などでVRを体験・体感できる店舗がアキバにも増えてきました。今後もどんどん進化を続けるであろうVR CONTENTSがどのような「世界」を運んでくるのか、アキバで胸を躍らせながら遠くない未来を待ちたいと思います。

●VR体験できるアキバのショップ

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