2016.10.14 FRIDAY

メディア芸術祭に激励され歩んだ10年間~Message 文化庁メディア芸術祭20周年記念企画展に寄せて~

毎年優れたアート、エンターテインメント、アニメ、マンガ作品を顕彰、一般向けに展示し、世に広めるイベント「文化庁メディア芸術祭」。

サブカルの「アカデミー賞」との呼び声高い同祭も、今年開催20周年を迎える。それを記念し、10月15日から秋葉原で「文化庁メディア芸術祭20周年企画展」が開催することが決まった。過去20年の秀作が一堂に介す注目イベントである。

過去20年の秀作が一堂に介す注目イベントである。過去メディア芸術祭の大賞作品に輝いた細田守監督『時をかける少女』『サマーウォーズ』のプロデューサー務めた、スタジオ地図の齋藤優一郎さんに、お話を伺った。

齋藤優一郎さん

齋藤優一郎 Yuichiro Saito

スタジオ地図

プロデューサー/代表取締役

1999年にマッドハウス入社。2011年に映画監督・細田守とともにアニメーション映画制作会社スタジオ地図を設立。プロデューサーとしてこれまで『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』等のヒット作を手がける。これらの作品はメディア芸術祭でも各賞を受賞し、審査委員会推薦作品にも選ばれている。

──第10回メディア芸術祭(2006年)、アニメーション部門の大賞は『時をかける少女』(細田守監督)でした。齋藤さんがプロデューサーを手がけられたヒット作。10年間を振り返ってみていかがですか。

齋藤 今年は映画公開から10年であり、メディア芸術祭との出会いもちょうど10年になりますね。初週6館からスタートした公開でしたが、沢山のお客様が観てくださり、そして更に沢山の方々に映画を語って頂き、段々と上映館数も増え、終わってみれば最終的に延べ100館以上、40週にわたるロングランをさせていただく事が出来た大変幸せな作品となりました。同時に、伝統あるメディア芸術祭にも評価して頂くという激励を頂いたことは本当に有り難く、励みとなりました。メディア芸術祭に「これからも頑張っていけよ」と強く背中を押して頂いたと心から感謝致しております。今夏は公開から10年を記念して、デジタルリマスター版での期間興行や、東京国立博物館での作品展示会に野外シネマなどを企画させて頂きましたが、また多くの観客の皆様方とお会いすることができ、とても嬉しかったですね。

齋藤優一郎さん

齋藤優一郎さん

(C)「時をかける少女」製作委員会2006
『時をかける少女』(2006)、『サマーウォーズ』(2009)はともにメディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞

──その後も『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』と話題作を次々と世に出しました。10年経った今も活躍されているその原動力とはなんでしょうか?

齋藤 細田監督は、常に新しいモチーフやテーマ、そして表現にチャレンジをして、アニメーションという技法で新しい映画の可能性にチャレンジをし続けています。でも映画は本当に一本一本の世界、一度失敗したら次がない世界です。だからこそ、沢山の観客の皆さんに映画を観て頂き、次の映画を作らせて頂けるチャンスを頂ける限りは、例えば、地球の裏側の人までを楽しませることが出来るような表現であったり、面白さであったり、価値観の幅を拡げていけるような作品を作りたいと思っている。この10年もそうでしたが、これからの10年も新しいチャレンジをし続けていくと思います。

齋藤優一郎さん

齋藤優一郎さん

(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

齋藤優一郎さん

齋藤優一郎さん

(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

齋藤優一郎さん

(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

──作品のテーマは変わっても、作り手の気持ちは変わっていないということですね。

齋藤 そうですね。変わらないものと、常に変化し続けていくものが同居している。それはまさしくメディア芸術祭20周年企画展のテーマ「変える力」という言葉とも一致していると思います。歴史と文脈を踏まえながら、新しいチャレンジとともに、表現を始め、沢山の可能性を発見し、その幅を広げていく。『サマーウォーズ』や『おおかみこどもの雨と雪』でアニメーション部門の大賞を頂いた時も、そういった作品のチャレンジを評価して頂いたと本当に感謝致しておりますし、それは今も作品制作の力になっています。

──今後の日本のアニメ-ションについてどう見られますか。

齋藤 日本に限らず、アニメーションの可能性というのは、まだ無限に広がっている、まだ誰も到達していない未開の白地図が広がっているんだと思っています。だからこそ、みんなで、その可能性に対して、新しいチャレンジをして、みんなで面白い作品を一本一本作り続けていくことが大切なんじゃないか、その積み上げこそが、これからのアニメーションの未来に繋がっていくんじゃないか、そう思っています。我々も、また新しい映画にチャレンジをしていきます。

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